躯体編
現場監督とは
先程は現場監督が1日どんなことをしているのかを紹介しました。
ここからは、マンション建設の各工事中に現場監督が何をしているのか、調査していきます!
今回密着させて頂く監督は、入社5年目のSさんです。
現在までに5現場経験しています。
日広建設では、約1年間同じ現場を担当するので、マンション建設全ての工程をいち早く学ぶことが出来ます。
工事の種類や意味、現場監督の仕事を掘り下げて見ましょう!
山留工事
各工事ごとに監督のお仕事っぷりを調査していきます!
よろしくお願い致します!
早速ですが今日はどのような工事ですか?
今日は「山留工事」です!
「やまどめこうじ」と読みます。
地中を掘っている最中に周りの土砂が崩れて流れ込むのを防ぐ工事です。
地中を掘る時に必要な工事なんですね!
そもそも何で地中を掘るんですか?
建物を建てる時、私達は必ず地中に基礎を作り、建物の重さや揺れなどに耐えられるようにします。
そのために地中の工事が必要になります。
なるほど。
何かを機械で押し込んでいますが、
何をしているんですか?
あれは山留で使われるH鋼です!
この現場は「親杭横矢板(おやぐいよこやいた)工法」を使っています。
H形鋼を埋め込み、Hの隙間の部分にそれぞれ板を渡して土を留めるんです。
なるほど!あそこではHの頭の部分を揃えていますね。
正確な位置に埋め込むのも大変そうですね。
職人さん達が手際よく作業されています。
矢印を拡大すると...↓
監督の仕事:レベルチェック
この時、監督は何をしているんですか?
基本的には現場を見て、安全に作業しているかなど作業過程を確認しています。
また、H鋼を埋め込む位置(深さ)の確認を行うこともあります。
この機械で見ているものですね!
連係プレーが光っていますね。
あはは。そうですね、職人さんも知った顔が多いので、お互い気兼ねなく仕事が出来るんだと思います。
ちなみにこの機械は「レベル」と呼ばれています。
レベルとは高さや水平の基準となるものです。
建物が水平に建つように、レベルを細かく見ていきます。
山留工事は建設工事の
「土台」となる工事です
杭(くい)工事
山留工事の次は杭工事ですが、どのような工事ですか?
杭工事は建物の重さに地盤が耐えられるように、
地中に杭を打ち込む工事のことです。
杭工事の種類
杭の打ち方にもいくつか種類があります。
- 既製杭工法
元々工場で作られた杭を決めた場所に打つ - 場所打ち杭工法
現場に穴を掘り、コンクリートと鉄筋を使って杭自体を作りながら打つ
また杭自体にも種類があり、今回の杭は「支持層」と呼ばれる建物を支えることができる固い地盤まで届かせることを目的とした「支持杭」と呼ばれるもので、場所打ち杭工法を使っていきます。
細かく分かれているんですね。
固い地盤まで杭を作っていくということですが、具体的な流れを教えて下さい!。
まず、杭の中心となる「芯(杭芯)」が決められた位置に来るように重機を固定します。
これは「杭芯セット」と呼ばれます。その後、重機を使って地中を掘っていきます。
なるほど。随分大きな機械で掘っていくんですね!
このまま掘っても周りは崩れないんですか?
現場によって深さは違いますが、40m以上掘ることもあるので、もちろん崩れます。
そこで安定液と呼ばれる液体を一緒に流して崩壊を防ぎながら掘っていきます。
掘り進めた土を取り出して、また掘り進めてを繰り返していきます。
監督の仕事:写真撮影
この時、監督は何をするんですか?
この時は写真を撮って記録しておくことがほとんどです。
使う機材の大きさや現場の作業状況、掘った土の地質や安定液の検査など、細かく写真を撮り、記録し書類にまとめていきます。
また、掘った穴がまっすぐか、周りを崩さず掘れているかなど超音波を使って調べる「孔壁測定(こうへきそくてい)」を行うこともあります。
結果を確認して職人さんと打ち合わせをし、次の工程に進みます。
なるほど..。
現場でいろいろな検査をし、記録しながら進めていくのですね。
そうです。写真で記録しておくことで、キチンと管理している証明にもなります。
また、記録しながら現場の安全にも気を配り、現場の清掃や近隣の方への配慮も忘れないよう職人さんと連携しています。
監督の仕事:写真撮影
安全管理とは作業する人だけでなく、現場の外にいる人に対するものでもあるのですね!
では、安全に気を付けつつ次いきましょう!
次は掘り進んだ穴に鉄筋を入れていきます。
鳥かごのように円形に組まれた大きな鉄筋を入れていきますが、その前に鉄筋の長さや使った本数などを記録していきます。
ここでも「記録すること」が大切ということですね。
その通りです。地中の工事は上に建物が建ってしまうと一切見えなくなってしまいます。なので、細かく確認記録に残しておくことは皆さんが思っているよりも大切なことなのです。
1~2年目はこういった仕事をこなして仕事の流れを覚えていきます。
話は戻りますが、いよいよコンクリートを流し込んでいきますよ!
コンクリート打設
ところで、コンクリートがどう運ばれてくるか知っていますか?
コンクリートってあのカチカチのやつですよね?
元はもちもちの生地とか…?🍕
ブブー!
固まる前の状態のコンクリートを私達は「生コンクリート(生コン)」と言います。
コンクリートは水やセメント、砂・砂利などを混ぜたもので、生コンクリートはものの数時間ですぐに固まってしまいます。
そこで工場で作った生コンを「ミキサー車」という車で混ぜながら現場に運ばれて来るんです!
ずいぶん昔は現場で材料を練ってコンクリートを作っていたらしいですよ。
道路でよく見るタンクがぐるぐる回っているやつですね!
昔は現場で練り合わせていたなんて…
昔に比べると便利になりましたね。
杭工事完了
掘った穴にコンクリートを下から流し込み、固まるのを待ちます。これを「打設」と言います。
固まったら、杭周辺の土を埋め戻します。
この一連の流れを繰り返し、いくつかの工程を終えると杭工事完了となります。
お疲れ様でした!
スケールの大きい工事でしたが大体どのくらいの期間工事にかかるんですか?
んー、建物の大きさにもよりますが、大体1カ月ほどですね。
1カ月!!根気がいりますね..!
そうですね。でも基礎部分、底面を均(なら)すために新たにコンクリートを打つなど、まだまだ工程はたくさんあります!
鉄筋・型枠工事
次は鉄筋・型枠工事ということですが、2つの工事は同じタイミングでやることが多いのですか?
んー、そうとも言うような違うような…。
実際には互いに関わり合いのある工事なのですが、イメージ的には交互に工事が進みます。
配筋・型枠の役割
鉄筋工事は柱や壁、梁となる場所に鉄筋を張り巡らせる工事です。
これを「配筋」とも呼びます。配筋をすることで、ただコンクリートを固めて造った建物よりも粘り強く、地震などの災害や火事にも強くなります。
また遮音性もあるので、多くのマンションやアパート建設で使われています。
身体で言う骨の部分ですね。
安心安全に暮らせるということですね!
どのように工事は進むのですか?
配筋は柱→壁→梁→床の順に行います。
柱と壁の配筋を終えると、今度は型枠工事が始まります。
型枠とは、簡単に言うとコンクリートを決められた形に固めるための板です。
鉄筋を型枠で挟み、その間にコンクリートを流し込むイメージです。
流し込んだコンクリートが固まったら型枠を外します。
型で囲われた内側がコンクリートになるということですね!
何だかお豆腐作りと似ていますね!
型に流し込むという所は確かにそうかもしれませんね。
ただ、この2つの工事は更に確認事項も多くなります。
監督の仕事:写真撮影・記録
???
一体どういうことですか?
一度コンクリートを流し込むと鉄筋は見えなくなってしまいます。
つまり、後から調整することができなくなるのです。
そのため、配筋が終わると現場監督は
- 使われている鉄筋の種類・本数
- 使われている鉄筋の配置と間隔
を構造図と照らし合わせ、撮影・記録します。
①・②はそれぞれ図面で決められているので、その通りになっているか細かくチェックします。職人さんと一緒に確認もします。
細かい作業になりそうですね。
そうですね。建物を支えるための「構造体」と呼ばれる部分でもあるので、入念に確認し記録します。
より簡単に記録が出来るように「蔵衛門」という写真ソフトを導入しています!
監督の仕事:安全確認
では型枠工事の時、監督のお仕事はどんなものがありますか?
型枠工事中の時は、型枠が地面に対して垂直に立っているか「下げ振」という振り子の様な物を上から垂らして確認することがありますね。
型枠が真っ直ぐ立っていなければ、コンクリートも曲がってしまうので。
その他に現場が安全に保たれているか見て回ったり、次の工事を逆算して必要な資材を発注したりします。
スラブ配筋
梁まで型枠が出来上がると、次はスラブに移行します。
スラブって何ですか?
スラブは床のことです。あまり聞かない言葉ですよね。
建設業では床のことをスラブ、壁紙のことをクロスと言ったりするので、用語を覚えることも新入社員の大事な仕事です。
- スラブの型枠
- 梁(はり)の配筋(一つ下階の天井)
- スラブの配筋
という順序で進めていきます。
写真撮影等で記録を取るなどの確認作業を繰り返し行っていきます。
コンクリート打設
ついにコンクリート打設です!
杭工事と同じ様にコンクリートが運ばれてきますが、ミキサー車だけでなく「コンクリートポンプ車」も一緒に手配します。
ポンプ車にはどのような役割があるんですか?
コンクリートポンプ車は運んできたコンクリートを計画で決められた箇所(高い箇所)に送るための機械です。打設箇所に流し込み、棒状の機械を使って振動を与え、固めていきます。
運ばれてきたコンクリートの品質試験なども並行して行いますが、これで打設完了となります!
お疲れ様でした!!基礎部分が完成しましたね!
この後はどうなるのですか?
全ての工程を建物の階数分繰り返します。
屋上のコンクリートを打設すれば「上棟」と言い、一区切りとなります。
躯体工事とは、
建物の基礎となる地中の部分や本体を造り上げる工事です。
工事が進むと見えなくなる部分も沢山あるので「記録・確認」が現場監督の主な作業となります。
また、使う資材の品質の検査などの「品質管理」も重要になります。